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ケーススタディ

相談者の心構え

 この4月から若年者の就職支援機関でSV(スーパー・バイザー)という業務に携わっている。横文字で書くといかにも重要な仕事をしているような感じがするが、要は”何でも屋さん”である。自己紹介のときは、『スーパーは安売りという意味で、バイザーは日よけという意味です』と説明する(笑)
個人的にはこの説明が一番シックリくるし気に入っている。

つい先日のことであるが、どこからどう見ても『おじいさん』としか言いようのない方が来所された。(ここは34歳以下の方がサービスの対象となっている) 最初は所長が対応していたが、『自宅まで来て欲しい』という要望だったので、私がお話させていただくことになった。 話を聴いてみると、25歳のお孫さんが、ちょっと前から働かないまま家に居るようになり相談機関に連れてこようとしても本人が行きたがらない状態にあるということだった。またご両親も、腫れ物に触るような対応しかできていないので、見るに見かねたおじいさんが一人で相談に来られたということであった。 『とにかく家まで来て孫の相談にのってやって欲しい』ということだったので、『まずは本人の了解を取ってください』とお願いした。すると『他のところでもそう言われた、了解が取れるくらいならわざわざ頼みにこないのに』と立腹された様子なので、過去の同じようなケースの話をさせていただいた。

過去に、本人の了解なしに家まで行き、強引に部屋の中に入れてもらって話をしたり、玄関先まで無理やり出てきてもらって話をしたことが何度かあった。その時には結構機嫌良く話をしてくれることが多いのだが、私が家を辞したあとで揉めるケースが非常に多かった。過激なケースでは暴力に発展することもあった。しかし、良く考えてみればごく当たり前の事である。自分の城に無断でどこの誰かわからない輩を、城主である自分を完全に無視して招きいれたことに怒りを感じているのだ。我々支援する側はつい『してあげる』という考え方を無意識に持ってしまうことがある。これは完全に相手を弱者とみなすことであり、対人支援を生業とする者がもっとも注意しなければならないことである。

幸いあっさりと説明を受け入れてくれたので、今後の支援策をアドバイスしてお帰りいただいたが、本人と会えるまでにはかなりの時間と手間を要するだろう。しかし、そこを手抜きしてしまうと必ずしっぺ返しに遭う。支援を必要とする人は、我々にとっては大切なお客様なのである。その心構えを持てない者は人を支援する仕事に就くべきではないと思っている。

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