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ケーススタディ

そこの君。名を名乗れ!

 学生向けにあるアンケートをお願いしたときのこと。無記名だが、回答を教えて欲しいという学生には、「アンケートに氏名・連絡先を記入の上、メールで回答を希望する旨連絡をしてください」とお願いした。翌日メールをチェックしていたスタッフが、「アドレスだけいきなり送って来る人が結構いるんですけど。名前を書かないなんて失礼な学生ですね。」と話しかけてきた。送信文面を見ると、そこにはただ1行「回答希望」とだけある。

名前も大学名もましてや「はじめまして」とか「よろしくお願いします」といったあいさつ文など一切なし。しかもそんなメールは1通や2通ではないのだ。
正直、びっくりした。メールでのやりとりは手紙に比べると簡単だし、携帯だと文章も短くなるのは仕方がないだろう。友達同士ならいちいち名乗らなくとも通じるだろう。
しかし、初めての相手にしかも依頼するメールを送る際に、自分の名前も名乗らず、要件のみ書くとはどういうことなのだろう。

そういえば、時々HPから「興味があるので会社案内やエントリーシートを送って欲しい」という問い合わせがくることがある。しかし、自分の名前や所属を書いていない人が結構いるのだ。資料請求だけだから、必要ないと考えているのだろうか。名前も所属もわからない人に資料を送りたいとは思わない。当然、そんな人には返事を書く気はおこらない。

就活用にビジネスマナーのセミナーをして欲しいという依頼が時々ある。ドアの開け方からお辞儀の仕方、イスの座り方、姿勢までこと細かく教えて欲しいという要望が目立つ。それだけ、マナーを知らない学生が増えているからだろう。
でも・・「マナー」とは本来テクニックではないと思うのだ。相手と向き合ったとき、どうすれば相手と気持ちよくコミュニケーションが取れるのか、どのような言動をとれば自分のよいところを表現できるのか、気持ちを込めて相手と接する、というマインドそのものがマナーの基本ではないだろうか。いくらスキルを身につけていても、「こころ」がないとそれは相手には伝わらない。特に、メールというのは、表情や態度、感情が一切伝わらない代物だ。だからこそ、普段以上に、気持ちや想いを込めるということが必要ではないだろうか。目に見えないけれど、確かにつながっている相手に対する想像力と思いやり。それが大事なのだと思う。

「恐れ入りますが、お名前と学部をお知らせください」。そう返信したスタッフが弾んだ声でやってきた。「お詫びの言葉と連絡先がはいったメールがきましたよ」ちょっとうれしかった。

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